コラム87 水彩には対比とそのバランスが大切

2023年3月1日  五十嵐吉彦

今、水陽会関連や五十嵐教室関連グループによる水彩スケッチ画展が始まっており、この3月中は多く開催される。どのグループも一生懸命努力して描き、開催準備をした成果発表展であり、是非ご来場頂き、鑑賞願いたく思う。(各展覧会紹介はこのHPのWhat's Newで紹介している) 水陽会グループは水彩スケッチ画の中でもメリハリがあり爽やかな作品となる「ペン彩画」が主流である。

描く風景の対象物には建物や船など硬い構造物もあれば、水面や空、樹の葉など柔らかいものもあり、光もある。この為、風景を描く場合、硬い対象物は硬く表現し、柔らかい対象物は柔らかく表現をして、より立体的に、感動する絵を描きたい。
この様な観点から「ペン彩画」は構造物など硬いものはペンの線の強弱で表現し、色彩は透明水彩の濃淡、光は明暗とそれぞれの対比とそのバランスを生かして、幅広い表現力を駆使して描いている。この為、水彩分野の中で、F4サイズながらもキラリと光る存在となり、「ペン彩画」という魅力ある分野となっている。

水彩&ペン彩画に於ける対比には「強弱」,「遠近」、「濃淡」、「明暗」等がある。一方、人生に於ける対比は一般的に「苦楽」、「浮き沈み」、「禍福」、「寒暖」、等々がある。

光射す歴史建築(旧日比谷公園事務所)

しかし、これらの対比の間には中間トーン、中間ゾーンがあってバランスを保っていると思う。小生が描くペン彩画の場合、対比はすべて重要でありテーマに応じてウエイトを変えているが、やはり光とカゲによる対比とトーンバランスが一番効果的であり、その中間トーンは大体5段階くらいでバランスをとっていると思う。
描くテーマの構図に応じ、対比とそのバランスを考えてみよう。

左は数日前に日比谷公園にある洋風建築を描いた作品。建物と樹の幹、枝等はペンの強弱、緑は水彩の濃度差、そして光とカゲを生かし明暗トーンは5段階程度で輝き感を出している。

F4  *この作品はHPのトップページに少し大きくして掲載している。


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