(コラム77)

構図を創る楽しさ

                 2022年5月1日 五十嵐吉彦

屋外にて風景スケッチを描く場合、先ず描く場所の風景を眺め、どこを切り取って描くか、良い構図を探し少し周辺を歩くと思う。今回はその構図について少し触れてみよう。

絵画や写真芸術の場合、構図を創る場合昔から黄金分割(1:1.618)をはじめ種々の法則やパターンがあるが、幅広く、好みもあり、簡単に「構図はこうだ」とは言い切れない。風景スケッチ画を実際に現場で描く時には、その場所で何を主体に描くか、先ず考えて、それを効果的に表現する構図を創るステップとなる。その構図の創り方について詳しい説明はこのページには収まらないので、今回は風景スケッチに絞り、小生自身の場合の構図の決め方について参考までに簡単に述べてみよう。

小生は風景スケッチの場合、先ずは、何を描くかをはっきりさせ、その目的に沿った構図をその場で素早く決める。主役が歴史建物である風景の場合は、その建物を主役にしながらもいいアングルを探し、光とカゲの具合を考えて、横位置にするか、縦位置にするかでバランスを考えた構図とする。一方歴史建物でも歴史建物自身の存在を描く場合には主役たる建物をやや大きく質感も出せる構図とする場合もある。自然を描く場合は広がりのある構図とするか、四季の輝き感を引き出す構図に光と色をどうするかを同時に考える。小生使用のごく基本的な構図法則では、2分割法、3分割法、三角図法などが当てはまるが、黄金比率から派生した「3分割法」をよく使うのでおすすめだ。過去の小生の作品を見て頂くと3分割法の活用に加え光とカゲを生かした作品が多いと思う。もちろん構図に加えて形、色が加わり、全体トーンバランスを見ている。構図で悩むのもまた楽しい。尚、暑い時は構図が制限されても木蔭などで描いて欲しい。

長池見附橋(旧四谷見付橋)が見える一隅
左の作品は先月、八王子に近い長池公園にある見附橋を描いたので、これを参考に構図を述べてみると、画面を3分割にして主役たる橋と建物のウエイトを1/3の所にもっていっていき、後ろの建物は脇役としている。水の映りも意識した。HPトップページ画像のコメントも参照下さい。

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