( コ ラ ム 39 )

雨の日のスケッチもまた楽しい

五十嵐 吉彦(2016.11.1)

 先月9月中旬から台風も多く雨の日が異常に多かった。恒例の9月開催「日本スケッチ画会展」も1週間殆んど雨であった。この様に展覧会期間中はずっと雨が続いたのは初めての経験であったが、雨の中3500名を超える入場者があり有り難く、感謝、感謝である。

 通常の小生講座は雨の予報の場合、延期するか、室内に変更するか、また場合によっては雨でも描ける場所で描くことにしている。 雨の場合の景色は少し暗いが、しっとり感があり、道路も雨で濡れて映っていて絵になる場合もある。ただ雨の日は湿度が高いので塗り重ねても乾かないので濃度が乗らない。その分滲みやぼかしが出来て思わぬ効果が出る場合もある。
ただ、雨の日も描くのが楽しいと言っても、確実に描けるとは限らない。軒下やガラス越しの室内から描く場所があっての話であるが、たまには雰囲気が変わっていい。

 雨の日に描いている場合、雨雲の色調、雨で濡れた道路への映り、また雨が突然止んで日が射し込んだ雨上りは、又独特の味がある状景が描ける。今回小生HPのトップページに掲載する作品は雨の日の作品で、@雨の函館港、A雨の大桟橋、B雨の恵比寿ガーデンプレイス、C雨の田安門、そしてD雨上がりの旧東京医学校本館の5点である。この内、@Aは今月11月中旬開催の第16回「日本ペン彩画会展」(会場は横浜・関内)に出品する予定。是非原画を見ていただければ幸いである。

 雨に関連する諺に「雨垂れ石を穿つ」がある。
また英語では、[No rain、no rainbow(雨降らないと虹は見られない)]がある。いずれも「継続は力」「忍耐と努力」等、努力が必要とのことであり、水彩スケッチも晴れた日は屋外、雨の日は室内で描くことは当然ながら、たまには雨の日に外で描く事もプラスに考えればよい。雨の日に描いて乾かない、思うように色がのらない。しかしそのような条件の悪さの中で描くスケッチ努力もあってこそ、また晴れた日のすばらしさがわかるであろう。

 尚、小生教室の場合、冬場で寒い雨の日は、冷えるので、無理をして外で描くことは少なく、室内で花や静物を描くのを基本としている。雨の日でも外で描くのは比較的季節のいい時期であり、寒い時期の雨の日の外は無理をしない範囲でのスケッチを楽しんで頂ければと思う。

   以上    

コラム目次へ