( コ ラ ム 3 )

何故「光とカゲ」か? (1)

五十嵐 吉彦  2006.7.15

光とカラー
  小生の作品は殆ど光を活用している。そして明るく、爽やかで、光輝く水彩スケッチ画にしようと努力している。小生は光による画像の世界、即ちカラー写真の世界に約40年間身を置きながら、水彩を描き続けてきたが、風景写真(芸術作品としての写真)も風景スケッチ画も構図と色彩と光の表現をどうするかは共通である。
小生の人生は光とカラーを基軸に過ごしてきた人生と言っても過言ではないが、それだけに水彩スケッチ画の作品は光が基本となっている。
  光は電磁波の一種であり我々の眼が感じるのはこの波長の一部の可視光線であり白色光であるがプリズムに入ると波長によって赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の虹色に分かれる。この発色の基本は光の三原色、即ち赤(R)、緑(G)、青(B)の混合で略すべての色再現が可能となり3色光を等量で混ぜれば白となる。(これを加色法と言う)。 これに対し絵具の3原色は黄(イエロー)、赤(マゼンタ)、青(シアン)の混色で理論的にはこの3色で再現できるが、三色を等量で混ぜると限りなく黒になる(これを減色法と言う)。わかりやすく言えば光の3原色での色再現はTVやパソコンのカラー画面で透過光で見ている色彩に対し、絵具やインクによって出来た絵や印刷物のカラーは減色法であり光源の反射光によって見ている色彩である。


光のカラーを、絵具のカラーで再現するのはむつかしい
  絵具の色だしは減色法である。混色をすればするほど黒に近づいていき濁ってくる。我々は風景にしろ静物にしろ眼で見た美しい自然の色彩の世界を、絵や印刷物で再現をするとき、如何に自然の色彩に近い色再現をするかを絵具やインクの色数や混色によって再現に努力している。光の3原色は写真の世界でもあり、光とカゲで出来た自然のカラーをカメラを通して記録し、その記録を写真プリントやデジタルプリントに再現して鑑賞する。これも精度をどこまで問うかであるが機械を通しての色再現でも3原色のみでは微妙な色再現がなかなか難しい。最近はプリンターでのインクは3原色+黒1色の4色が基本であるが6色、7色のインクの使用のプリンターも出ている。 これに対し水彩スケッチ画を描く場合はカメラやプリンターの代りに、眼と手で対象をスケッチし、それに絵具の混色を駆使して自分の手で彩色して1枚の絵に仕上げるから、最初から最後まで自分自身で完成させる手造りの世界でありより難しく高度となる。水彩絵具の市販セットは3原色ではなく12色〜24色までのセットがスタンダードである。ここで光によるカラーの世界の表現を絵具で表現するにはどうすれば効果的であろうか?             

(続きは次回)

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