( コ ラ ム 14 )

「一隅を照らす」

五十嵐 吉彦(2009.3.30)

 1月〜4月の五十嵐関連教室グループ展の内3月末までの展示会が盛況裡に終了しました。
昨日終了した第8回「水陽・青葉会展」も約1500名の来場者があり、ご来場頂いた皆様に大変感謝致します。本年は1月からの各グループ展ともそれぞれに特徴を持ち、それぞれに作品の向上が見られ、大変楽しい交流の場となってきました。特に会員の皆様の出品 作品が向上しているとの声が多く、小生提唱のコンセプトの中で各自がキラリと光る個性が出てきていること、そして来場者の中で大変感動を受けて帰られている方々が多かったことが講師としても大変うれしく思っています。(グループ展の大切さはコラム10参照)
そして、今この水彩スケッチ画が急速に普及しつつある事は大変喜ばしいことであり、 絵画の中の一つ新しい分野として成長しつつあります。

 私は自分の座右の銘の中のひとつに「一隅を照らす」(一隅を照らす、これ国宝なり)と言う言葉があります。この言葉は伝教大師最澄の言葉ですが、社会の中で一人一人が、その立場立場においてなくてならない人になる。その立場の仕事・役割を通じて世の為、人の為に貢献する。そういう生き方が「一隅を照らす」と理解しています。今、私は絵画の世界では水彩スケッチ画の分野にいます。広い絵の世界の中で「一隅を照らす」精神で活動しています。即ち、日本画、油絵、水彩画、他幅広い絵画の世界の中で水彩画の範疇乍ら「水彩スケッチ画」という「一隅」を照らし始めています。
 私の水彩スケッチ講師生活も9年目になり漸く「水彩スケッチ画」が普及し始め、横浜、東京を主体に大勢の水彩スケッチ愛好者が出てきています。この「水彩スケッチ画」は 新しい水彩の世界の創造であり、新しい層の誕生と思っています。このコンセプトに賛同され、この様な作品を描きたいと言う方々が集まり、その方々がキラリと光る個性を出して描き、展覧会を開催することで、新しい水彩スケッチ分野の創造が始まり、その分野が広がってきたと言えます。

 繰り返しになりますがこのコンセプトとはスケッチの線を生かし、透明水彩の爽やかさを生かし、紙の白地を生かし、サイズはF4主体であり、簡便ながらも奥が深く、生涯継続できる新しい感覚の知的趣味、それが「水彩スケッチ画(淡彩画・ペン彩画・水彩スケッチ画を含めての総称)」であり、主として中高年の方々が生涯人生を楽しむ為でもあります。この水彩スケッチ画をマスターするにも奥が深く生涯の趣味として長く続けられますので、描く事を通じ健康で生きがいある生活が続けられれば本人自身はもちろん、ご家族、また国も大変助かると思いますし、これが社会にも貢献していると思っています。
 これからも私と水彩スケッチを愛する仲間たちが、各々キラリとした光で一隅を照らし、その一隅の光が集まって明るく輝き続ける事を期待しています。

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