( コ ラ ム 11 )

水彩スケッチ画は線と色彩が大切 (1)

五十嵐吉彦(2008.6.21)

   小生が提唱している水彩スケッチは、簡便ながらも奥が深く、淡彩スケッチから水彩スケッチまで幅があります。 そのコンセプトはいままでも繰り返し述べている如く  (1)  スケッチの線を生かす  (2)  透明水彩で描く  (3)  紙の白地を生かす  (4)  スケッチブックはF4基準とする 等を基本としています。
   スケッチは対象をよく観察し、鉛筆やペンを使って形を捉え、そのスケッチの線を活かして、透明水彩の彩色が加わってはじめて水彩スケッチ画となります。
   小生自身は線によるスケッチの時間は対象物に応じて、スピーディに線の勢いを重視する場合と、複雑な対象物でじっくり描く場合とで時間のかけ方が異なりますが、まあ平均すれば10分〜30分程度が線のスケッチで、後は彩色です。彩色は10分〜20分くらいでスピーディに淡く彩色した作品は淡彩スケッチで、30分〜1時間程度時間をかけ彩色重視で特に明度・彩度巾を広く、即ち濃度幅をもった作品が水彩スケッチと区分していますが、あまり厳密に区分しなくても水彩画の範疇であります。

   したがって小生は鉛筆やペンのスケッチの線を生かした淡彩スケッチや水彩スケッチの両方を総称して「水彩スケッチ」と呼んでいます。現在五十嵐教室は風景スケッチ主体ですが平均2時間で仕上げる前提で勉強しています。もちろん木や山が多く構造物が少ない風景では線スケッチの時間が少なくて済みますが、複雑な建物や船などになると形を捉える線スケッチに時間がかかりますのでどうしても線スケッチに時間ウエイトがかかり、彩色に時間がかけられない、従って淡彩傾向となります。しかし、慣れてくるに従ってスケッチスピードが速くなりますので、それだけ彩色に時間がかけられますから彩色主体の水彩スケッチ画が描ける様になります。

   それでは何故鉛筆やペンでの線を生かす事が水彩スケッチの基本の1つなのでしょうか? 線を生かす絵はスケッチともデッサンとも言いますが絵画の基本だからです。 スケッチの基本は先ず対象物をよく観察し、それを自分自身の眼と手でとらえて、スケッチブックの上に形を線で表現することです。線のスケッチはスピーディな線のタッチから、細密な線の描写方法までいろいろな技法がありますが、材料では主として鉛筆で描くか、ペンで描くかの差もあります。そして何よりも重要なのは風景スケッチでは現場で対象の風景(3次元の世界)を真白なスケッチブックに描くこと(2次元の世界に直す)であります。線で形をとるスケッチ、これは偶然性に期待するのではなく自分自身に手で描き形を作り上げてゆく表現、創作行為であり、これが大切なのです。
この線スケッチで何もかも忘れ夢中になっている時が第1段階の楽しみです。

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